阿麻作品集


「赤ちゃん戻り」(蘭の会11月の詩集に掲載)
閏年のバースディが やってくる。
あの日の
わずかな隙間に ヒヨコは生まれ
忘れ去られてく寸前、ピヨピヨと鳴いて
母のやさしい膝に乗り・・・やがて
チョコチョコ降りていく

遊び飽きた殻を握り締めても、やがてだんだん途切れてなくなる、ルーツ。

あの足取り 巣立ちのあと 風に煽られ夜の道を
うごめき
昼間の渇きの中 わずかな水を求めて叫ぶ・・・行方知れずの日々たどり、
やがて自分の歳さえあやふやなまま、とうとう帰って来たの

数が少]ない、残り少ない・・・誕生日
この世にたった一つの 少しだけ、かなしい逃げ場所へ。


四分の一にまで齢(よわい)縮めてでも、だまし果(おお)せたい 赤ちゃん戻り。


いま漫画のカリメロと、私もおんなじ殻をかぶり
楽しく笑い、転がり・・・ヨチヨチふざけて
母の膝によじのぼり、降りたりして甘えながら
覚えたばかりの
チョコチョコ歩きに 夢中で憩う。

遊び飽きた殻を捨て去り、足跡がそこで途切れる、ルーツ







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